BOUSAI SPECIAL

「外出先防災」が命を守る

防災士・空橋早希さんが提案する“持ち運ぶローリングストック”

2025年9月1日|聞き手:株式会社vitom 取締役COO 三石賢志郎

2025年9月1日――防災の日。 家庭で防災食や水を備える人は年々増えているが、職場や通勤・通学の途中など外出先の備えはまだ手薄だ。生活時間の3分の1は家の外で過ごすにもかかわらず、そこへの備えがない現実は見過ごせない。
この「備えの空白地帯」に光をあてるべく、株式会社vitomは防災士で気象予報士の空橋早希さんに話を聞いた。聞き手は同社COOの三石賢志郎。テーマは“外出先防災”だ。
左:空橋早希(防災士・気象予報士)/右:三石賢志郎(vitom COO)

『おにもち』がつなぐ日常と防災

『おにもち』は常温で1年間保存でき、火も水も食器もいらず、そのまま食べられる完全栄養食。非常時の備えになるだけでなく、普段の昼食や小腹満たしにも自然に重宝するのが大きな魅力だ。三石は「おにもちこそ、日常と防災をつなぐ食べ物だ」と語る。では、防災の専門家の目には『おにもち』はどう映るのか――。

調査で見えた“外出先防災”の空白 (※1)

57.9%
自宅に防災食を備えている人
~20%
職場/バッグ/車内など外出先で備える人
13.4%
バッグに災害を想定した食品を入れている人
三石
生活時間の約3分の1は外で過ごしているのに、外出先での備えはまだまだ手薄ですね。特に近年は局地的大雨や台風、地震などによって様々な場所で災害が起きています。帰宅途中や外出中に被災する可能性は決して低くありません。
空橋さん
災害が発生すると、公共交通機関が麻痺して帰宅困難になったり、外出先で被災する可能性もあります。いつ・どこで被災するか分からないからこそ、自宅の備えだけではなく、外出先の防災にも目をむける必要があります。

被災地取材で知った「食事の重要性」

報道記者時代、空橋さんは九州北部豪雨や西日本豪雨の避難所を取材してきた。避難所では水やパンなどの炭水化物は比較的足りていたが、「普段食べ慣れたご飯(白米)」や野菜は不足しがちな印象を受けたという。

空橋さん
やっぱり「白いご飯が食べたい」という声は本当に多かったです。アルファ米(炊きたてごはんを急速乾燥させたもの)は便利ですが、水やお湯が必要で、災害初期はそれすら確保が難しい場面もあります。さらに野菜不足は便秘や体調不良を招き、精神的なストレスにもつながります。野菜が食べられなかったり、ご飯が食べられないというのは、 気持ちの面でもすごく落ち込んでしまったり、さらに食欲が失われてしまうようなことにもつながるんじゃないのかなと思います。だからこそ“普段の味”を食べられる安心感はとても大きいんです。
三石
おにもちが持つ“普段の食事”としての親しみやすさや、火も水も不要ですぐに食べられる利便性、そして米と23種で実現した完全栄養という栄養バランスは、まさに現場のニーズに応えられると思います。
水も火も不要、そのまま食べられる『おにもち』。

100円ショップで作れる「防災ポーチ」

まずはここから。バッグに入る“自分専用の備え”。

空橋さんは、まず一歩目として防災ポーチを持ち歩くことを提案する。その中身のほとんどは100円ショップでも揃えられる。

空橋さん
「帰宅難民」という言葉があるように、特に都心で暮らしている方は電車が止まったり、新幹線が動かなくなったりという経験を一度はしているはずです。そういった時、自宅にいくら備えていても取りに戻れない。だからこそ、バッグの中に“自分専用の備え”を持っておくことが大事なんです。
三石
100円ショップに防災グッズが売っているイメージがありませんでしたが、どのようなモノがあると良いのか、それぞれご説明をお願いします。
笛(ホイッスル)

エレベーターに閉じ込められたり身動きが取れない時、最小限の力で助けを呼べる

携帯用トイレ

帰宅困難時や避難所でトイレが使えない場合に有効

圧縮タオル

水を少量かけるだけで膨らみ、体や怪我の汚れを拭ける

アルミブランケット

体温保持や雨除け、簡易トイレ使用時の目隠しにも

ミニライト

停電時だけでなく、光を点滅させることで助けを呼ぶことも出来る

シャンプーシート

夏場の衛生管理に便利

空橋さん
防災は完璧を目指さなくても大丈夫。モバイルバッテリーや飴を持ち歩くだけでも立派な防災です。大切なのは自分にとって必要な防災を出来る範囲で続けることです。

新習慣「持ち運ぶローリングストック」

ローリングストックとは、日常的に食べる食品を備蓄し、消費と補充を繰り返す方法。空橋さんはこれを外出先にも広げる「持ち運ぶローリングストック」を推奨している。

空橋さん
普段食べ慣れた食品をバッグに常備しておけば、そのまま防災食として使えます。災害時は水や火が使えない状況も珍しくありません。だからこそ“日常の延長”で食べられるものを持ち歩くことが大切です。飴やチョコのような甘いものは気分転換や素早い糖分補給にとても役立ちますので、立派な防災食といえます。そこに長時間の行動に必要な栄養がまかなえる食品を一つ加えると、備えの質がぐっと高まります。
三石
おにもちのように日常でも食べられ、持ち運びやすく、すぐ食べられる食品は、この習慣に最適です。

『おにもち』の試食評価

インタビューの後半では、空橋さんが実際に『おにもち』を試食していただいた感想やその実用性を伺った。

空橋さん
非常食とは思えない自然な美味しさでした。お米なのにこぼれにくく、袋を開けたらすぐ食べられる。災害時は水が貴重なので、水で戻す必要がないのは大きな強みです。

また、栄養が炭水化物に偏らない点にも注目する。タンパク質や食物繊維を含むことで、避難生活で不足しがちな栄養を補えるのだ。

『おにもち』が「持ち運ぶローリングストック」に最適な理由

軽量・こぼれにくい形状で、外出先の防災にフィット。
  • 常温で1年保存:バッグや引き出しでの保管に◎。
  • 水も火も不要:開けてすぐ食べられる。
  • 軽量(1パック130g):持ち歩きに負担が少ない。
  • こぼれにくい形状:片手で食べやすく衛生的。
  • 栄養バランス◎:タンパク質・食物繊維・ビタミン/ミネラルも。
  • 普段使いで美味しい:日常×防災の両立で無理なく回る。

今日から「外出先防災」をはじめよう。バッグに『おにもち』を。

おにもちを見る

今日からできる「外出先防災」

『防災の超図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)
空橋さん
防災は特別な準備ではなく、日常の延長として考えていただきたいです。バッグに『おにもち』と防災ポーチを入れるだけで、外出先の備えは大きく変わります。それが命を守る一歩になります。
三石
防災の日をきっかけに、外出先の“備えの空白地帯”を埋める行動を始めていきたいですね。

さらに防災の知識を深めたい人には、空橋さんが編集に参加している「すごすぎる天気の図鑑」シリーズの『防災の超図鑑』(荒木健太郎/KADOKAWA)が参考になる。災害のメカニズムから家庭でできる実践的な備えまで、写真や図解を交えてわかりやすく解説しており、日常の中で防災を考えるきっかけになる一冊だ。
https://www.kadokawa.co.jp/product/322409001294/

動画で学ぶ「外出先防災」

防災士・空橋さんによる解説動画です。記事とあわせてご覧ください。

(※1)調査概要

調査方法:インターネット調査/対象:全国の20〜69歳の男女/期間:2025年8月/回答数:310名

プロフィール

空橋早希さん

空橋 早希(そらはし さき)

防災士・気象予報士・気象アーティスト

茨城県出身。東京造形大学デザイン学科写真専攻卒業。 大学では報道写真や自然などの風景写真、絵画や映像制作などを学ぶ。卒業後は共同通信社で写真記者・記者として様々な災害現場を取材。2022年に気象予報士の資格を取得し、2023年から奈良テレビやNHKラジオ、MBSラジオなどで気象解説を務める。 現在は「気象と防災をもっと身近に自分事に!」をモットーに、これまで学んできたアートを活かし「気象アーティスト」として、気象にまつわる写真や映像・絵画作品を創作している。

三石賢志郎

三石 賢志郎

株式会社vitom 取締役COO

長野県高森町出身。新卒でITシステム企業に入社し、ARR2億円規模のプロダクトにおいてエンジニア・PMを経験。 2024年、林のビジョンに共感して株式会社vitomへ2人目のメンバーとして参画。 「防災は特別な準備ではなく、日常の延長線上で続けられることが大切」という考えのもと、日常食でありながら非常時にも力を発揮する“ローリングストック型の防災食”の普及に取り組む。地方創生や食の安全にも関心が深く、地元・高森町をはじめとした地域との連携を重視しながら、食と防災の新しい在り方を探求している。